この記事では、統計検定準1級の攻略法を紹介したいと思います!
統計検定1級を最優秀成績賞で取得した私が、準1級の攻略法を共有することで、これから受験を考えている人の参考になれば幸いです!
ちなみに準1級も、過去最高難易度とも言われた2021年6月度のPBT試験で、最優秀成績賞を取得しています!
- どんな勉強をしたの?
- どのくらい勉強すればいいの?
- どの本を使えばいいの?
今回はこのような疑問に答えていこうと思います!
2級対策記事でも同じことを言いましたが、準1級もやることはシンプルです。
日本統計学会認定、準1級級対応の『統計学実践ワークブック』を読み込んで、過去問を解く! これだけです!
ただ、私が受験したのはPBT形式のテストで、現在はCBT形式に移行しているため参考にならない部分もあるとは思います。
なので、できるだけ普遍的なエッセンスを伝えられたらと思っています!
また、使った書籍も最後に紹介していますので、もしよかったら参考にしてみてください!
準1級受験体験記
まず、受験体験記から書きたいと思います。
本番の部分は、PBT試験に限った話なので、読み飛ばしてもらって構いません。
私が準1級を受験した際は、準1級がメジャーじゃなかったこともあり、情報が本当に少なかったです。実際に受験した人の生の声が、もっと聞けたらいいのになと思っていました。
現在は状況も変化しているとは思いますが、私自身の体験を共有することで少しでも役に立てばと思います。
受験前
さて、1級合格までの足跡を紹介した記事でも書きましたが、私が準1級を目指し始めたのは、2020年の4月に2級を取得してからです。
2級に合格した直後には、どうせなら1級まで取りたいと思っていましたので、自然と準1級合格を目標に設定しました。
当時はPBT試験のみで1年に1回だったため、当初は2020年の6月度の試験を受験する予定だったのですが、コロナの影響で中止になってしまいました。
そのため、2021年の6月度に受験するしかなくなってしまい、ぼちぼち勉強することにしました。
とりあえず、何か本を買って勉強しようと思ったのですが、当時は準1級対応の『統計学実践ワークブック』もなく、膨大な範囲を様々な書籍を買って勉強するしかありませんでした。
この時お世話になった本は、後で紹介しようと思います。
そんなこんなしているうちに、2020年の5月末に『統計学実践ワークブック』が発売されました。
めちゃくちゃありがたかったのを覚えています。範囲を全部網羅してくれていて、演習問題までついていて、とてもいい参考書だと思います!
しかし、ワークブックを手にして試験対策はしやすくなったし、試験は1年後だしで、全く身が入りませんでした。笑
結局試験2か月前くらいまで、大学の試験勉強や、プログラミング、機械学習などを勉強しながら、暇なときにワークブックを読み進めるといった感じでした。
後述しますが、この時のプログラミングや機械学習の勉強は、準1級受験やkaggleでのメダル獲得に非常に生かされました!
2021年の5月に入り、さすがにヤバいとなってワークブックを読み込みました。本当に隅々まで読み込んだと思います。演習問題も一応全部2週くらい解きました。
正直、解かなくてもいい問題もありますが、不安要素をなくす意味ですべてやったのは良かったと思います。
また、このとき培った基礎力が、1級受験へとスムーズに入れた要因でもあると思います。
あまり余裕がなく、過去問をはじめて解いたのは2週間くらい前だったと思います。
本当は初めに解いて、足りないところを見た方がいいと思うのですが、勉強開始した当初にざっと見た感じ、知識が全く足りないと感じたので、ワークブックで基礎力をつけることを優先しました。
ただ、ワークブックの演習問題は、過去問をベースに作られていることも見て取れたので、ワークブックを完璧にしておけば、過去問もしっかり解けるようになるだろうとも思ってました。
実際、ワークブックと2級の範囲を完璧にしていたことで、過去問の部分記述問題と選択肢問題は大体解けました。しかし、論述問題を解けるようになるのはなかなか難しかったです。
※PBT形式は、部分記述問題10問、選択肢問題24問、論述問題1問(3問から選択)で構成
もう余裕もなかったので、論述問題は回帰分析系、因子分析・グラフィカルモデル、実験計画法のどれかは出るだろうから、その時解けそうなのを解こうと思ってました。
ベイズは最近流行りなので、どこかで出るだろうと思い、後述する『道具としてのベイズ統計』という本も使って対策してました。
過去問を解いたあとは、ワークブックの穴を埋めながら、予想されそうな論述問題を考えて対策するといった感じでした。
本番!!
まず、試験開始してすぐ論述問題を見ました。
問1はマルチンゲールとかいう知らん単語が書いてあるし、問3は回帰分析系だけど、欠損値補完も絡んでてメンドそう。問2はなんと、直前に対策したベイズ!!
即決で問2にしました。運がよかったです。笑
問題を見た感じ、完答できそうなので万々歳でした。
とりあえず、論述は後からにして、部分記述と選択肢問題に移りました。
喜びも束の間、これが、めっちゃムズかったです。笑
なんとか、耐えながら解き進め、選択肢は自信がないところもありましたが、何とか2択にしぼったりして得点の期待値を最大化できるように努めました。←何気に選択肢問題では大事な力です笑
残り25分くらいで論述に行き、ベイズを完答して、あとは見直しをして終了しました。
部分記述と選択肢問題の難易度は過去最高だったと思います。
終了後はツイッターが荒れていました。笑
結果
自己採では、部分記述:7/7、選択肢問題:22/28、論述:完答 でした。
選択肢問題の正答率がちょっと低かったので、最優秀成績賞は厳しいかと思いましたが、なんとか最優秀賞を頂くことができました。
勉強時間
これは個人差があると思いますので、私の個人的な感覚を共有しようと思います。
まず、受験前の知識とスキルはこんな感じです。これくらいの感じなら多くの人が当てはまるのではないかと思います!
準1級と2級の間の差に愕然としたのは、私も同じです!
そこからでも、地道に勉強すれば、最優秀賞での合格も夢ではありません!
- 2級の内容はほぼ完ぺきにしている
- ワークブックはぱっと見かなり難しそうに感じた
- 理系だけど、大学数学は勉強してない
統計検定2級を受験する前は、統計学完全初心者でした。
先述した通り、本格的な勉強は大体2か月前くらいから勉強を始めて、一日2~3時間ほどやってました。
なので、準1級に特化した勉強は、3時間/日×60日 = 180時間くらいだと思います。
これは、本当に大体なので、あくまで参考にとどめてほしいです。
2級の記事でも書いたように、大事なのは量で、その量をこなす時間がこのくらいかかったというイメージです。
加えて、2級合格後から、機械学習やプログラミングの勉強はしており、それが準1級にも生きてきたのは間違いないので、厳密に180時間です!とも言えません。
勉強法
ここでは、勉強法をより具体的に話していこうと思います。
まず、前提として2級対応の『統計学基礎』の1~6章(7章は付録)を完璧にしておいてください。目安としては、2級の過去問でほぼ満点がとれるレベルです。
その上での準1級の範囲の勉強でなければ、後からやる羽目になって、結果として遠回りになります。2級で頻出だった仮説検定や統計的推定などは準1級でも出ます!
まず、使った書籍についてですが、
ワークブックが発売される以前は、多変量解析や時系列分析、ベイズ統計の入門書を買って読みました。ワークブックが発売されていれば、買わなかったと思います。
しかし、これらの本を読んでいたことで、ワークブックにすんなり入れましたし、ベイズ統計はこの本のおかげで完答できました。
多変量解析や時系列分析、ベイズ統計が初めての方は、入門書を買って読むのはありだと思います!
現在はCBT試験ということで、自分で受ける日程を決められるため、時間をかけて基礎をしっかり固めましょう。
ここからは実際の勉強法になります。
まず、私はワークブックを前半と後半に分けて考えています。
前半は1~12章で後半は13~32章です。感覚的には、前半は1級の統計数理的な側面が強く、後半は準1級的な側面が強いというイメージです。
あくまでイメージで、準1級も1級もワークブックすべての内容をカバーする必要があります。
特に、準1級のCBT試験のブログを見ると、ワークブックのかなり細かいところまで出ると書いてある記事が多いです。
なので、本当に隅々まで、理解して、演習問題を解けるようにしておきましょう!
加えて、1級(特に統計数理)を見据える場合は、ワークブックの前半部分を得意にしておくと、後の勉強が楽になります。
ワークブックの進め方
具体的なワークブックの進め方ですが、まず、過去問を1年分でもいいのでざっと見ましょう。
個人的にはいきなり解く必要はないと思います。2級レベルの知識では全く解けないのでほとんど意味をなさないからです。なので、ざっとみて、こんな感じで出題されるのかというイメージをつけられればオッケーです!
その後、各章で以下を繰り返します。
理解したと思えるまで読み込む → 演習問題を解く → 説明に戻って理解
全章終わったら、演習問題をもう1周します。
そして、いよいよ過去問を解きます。
解いた後に理解が足りていないところのワークブックを復習します。
直前期はワークブックの読み落としているところがないか確認しまくります。これで、本当に細かいところまで完璧にしましょう!
私の時は、試験終了後のツイッターで「ワークブックを過学習してしまって、テストに対応できなかった」みたいな、うまそうなことを言っている人が結構いましたが、正直勉強が足りていないと思いました。
どんな参考書であれ、内容をインプットし、それをテストでどのような問題が出るか想像しながらアウトプットするという作業をして、知識や計算技術を深めていくのが試験に向けての学習です。
そのような学習が本当の意味でできていれば、学習したのにテストに対応できないということは、ほぼ起きないと信じています。
勉強において、参考書の過学習など存在しないというのが私の持論です。
偉そうに語りましたが、あくまで1人の意見なので、あまりあてにしないでください。笑
また、ワークブックの読み方ということで、各章のポイントをまとめた記事を書き始めましたので、のぞいてみてください!
まだいくつかの章しか書けてないですが、順次公開していきますので、気長に待っていただけるとありがたいです!
使った書籍
最後に使った書籍を紹介しようと思います。
まず、ワークブック発売前に買った本を紹介しようと思います。
どれもわかりやすくていい本なので、ワークブックが難しいと思う人にはお勧めです!
入門 統計学(第2版): 検定から多変量解析・実験計画法・ベイズ統計学まで (栗原伸一著)
統計検定1級を取得するまでをまとめた記事でも書きましたが、私が統計学にハマったきっかけとなった本です。統計学初学者におすすめですが、特に実験計画法は詳しく書いてあるので、準1級の対策でも使いました。
入門はじめての多変量解析 (石村貞夫、石村光資郎 著)
重回帰分析、主成分分析、因子分析、判別分析といった多変量解析を、数式を追って丁寧に説明してくれているので、線形代数が苦手な人にもおすすめです。
入門はじめての時系列分析 (石村貞夫、石村友二郎 著)
上の本と同じシリーズですが、こちらはエクセルやSPSSをつかって可視化したりしています。時系列分析の導入書としてはおすすめです。
道具としてのベイズ統計 (涌井良幸 著)
これは初学者に超おすすめです!私自身、ベイズ統計が何か全くわからない状態でこの本を読んで、ベイズ統計ってめっちゃ面白い!と感じました。内容としては、ベイズ統計の基本的なところから、MCMC法や階層ベイズ法までカバーしています。
ここからは必須の参考書です。
日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック (日本統計学会編)
言わずもがなで絶対必要な参考書です。準1級を受けない人でも、様々な統計的手法を網羅的にまとめてあるので、持っておいて損はないと思います。やりこみましょう!
日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2018〜2019年] (日本統計学会編)
過去問は必須です。私の時はこれしかなかったのですが、今は準1級だけをまとめたものもあるようです。将来的に1級を受験する方は、これに掲載されている1級の問題を見てイメージしておくのもありだと思います。
日本統計学会公式認定 統計検定 準1級 公式問題集 (日本統計学会編)
こちらは、準1級のみ6年分のPBT試験が掲載されている問題集です。そのうち、CBT形式の問題集も出そうですが、6年分も入っているのはありがたいですね。私もこれがあったら絶対買ってます。
データサイエンティストやKaggleを見据えて
おそらく、準1級を受ける方の多くは、データサイエンティストといった職業への就職や転職を目指していたり、データサイエンスを本格的に学びたいと思っていたり、あるいはKaggleなどのコンペで結果を残したいと思っていたりするのではないかと思います。
そういった方に準1級は本当に有用な資格試験だと思います!他の記事でも言っていますが、理由は二つあります。
① 準1級で初めて、機械学習の基本を学ぶことができる。
② 2級取得者は比較的多いが、準1級になると急に少なくなるため、希少性が増す。
データサイエンティストになることやデータサイエンスを本格的に学ぶことを考えたときに、機械学習の知識は絶対必須です。
そして、準1級の試験の勉強は、その幅広い出題範囲を網羅することで、機械学習の基本となる考え方を身につけることに効果的です!
しかし、統計検定2級だけでは、統計学の基本は身に付きますが、まだ知識として心許ないという印象を受けます。
データサイエンスを本格的に学ぶつもりの方は、準1級の勉強と同時に機械学習やプログラミングの勉強をしておくといいと思います。すると、準1級を受験する際に座学で補強されていく感覚が分かると思います!
私自身、Kaggleでメダル獲得をしていますが、準1級で学んだことが生きていると感じます。準1級受験前から機械学習やプログラミングを学んでいたことで、実践と座学がぴったり合わさっていく感じがありました。
動画講座について
書籍で学ぶことも有用です。
しかし、結局実践できないと意味がないので、理論とコードを書くことを同時に進めておくといいと思います!
その意味で、コードを書いて実践する場として、動画講座を利用するのはかなり有効です!
今のうちに実践しておくと、後々準1級を座学で学んだ際に、こういうことだったのか!と理解が深まります。実際に私がそうでした!
個人的おすすめは、Udemyです!
Udemy
まずは、Udemyです!知っている方も多いとは思いますが、動画講座の鉄板です!
セール中であれば、1000~2000円で講座を買えるので、お財布にもやさしいです!
個人的には、「かめれおん」さんの講座が激おすすめです!この方の講座はセール対象にはならないですが、講座の完成度がレベチです。上のリンクでかめれおんで検索すれば出てきます!
講座を全部受講すれば、冗談抜きで、AIエンジニアやデータサイエンティストとして働けるレベルになれると思います!
Udemyのおすすめ講座については以下の記事にまとめたので、興味があれば是非見てみてください!
書籍について
ただ、勘違いしてほしくないのが、書籍での勉強もめちゃくちゃ大事です!
動画では聞き流してしまうところも、じっくり腰を据えて勉強できるのが書籍のいいところです!
自身の理解があやふやなところがよくわかりますし、数式を追っていく訓練にもなります。
なので、個人的おすすめは、動画講座と書籍のハイブリッドです!
機械学習のおすすめ本こちらの記事で紹介してますので、是非ご覧ください!
さいごに
ここまで、統計検定準1級の攻略法ということで書いてみましたが、あくまで1人の体験談なので、参考するにとどめてもらえればと思います。
少しでも、統計検定取得を目指す方々のお役に立てればうれしいです。
準1級取得目指して頑張ってください!!
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