AI創薬をやってみよう! 【vol.1 データセット編】

この記事では、AI創薬のためのデータセットを扱ってみようと思います!

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そもそもAI創薬ってなに?

そもそも、AI創薬とはどのようなタスクでしょうか
広い意味では、創薬のいろいろなフェーズにAIを活用するということになります。

ここでは、特に、薬物候補となる化合物をスクリーニングする段階でAIを活用することを考えます。

スクリーニングの段階でAIを活用する際には、化合物とターゲットとなるタンパク質が結合するかどうかをAIで予測するというタスクを考えます。

つまり、化合物とタンパク質をコンピュータの処理できる形で表し、AIによってその関係性を予測するタスクです。

関係性は、結合するかしないかの二値分類や、IC50,EC50,Ki,Kdといったアフィニティ(結合のしやすさ)の数値などで表されます。

以下の図を見ると分かりやすいと思います。

化合物は文字列やフィンガープリント、グラフで表現し、タンパク質は文字列やグラフなどで表現します。これにより、コンピュータで処理できる形になりました。そして、決定木などの古典的解学習手法や、RNN、CNNといったディープラーニング手法などでアフィニティを予測していくことになります。

Lim S et al. A review on compound-protein interaction prediction methods: Data, format, representation and model. Computational and Structural Biotechnology Journal 19 (2021) 1541–1556 より引用

最近では、データの蓄積やディープラーニングの発展に伴い、AI創薬の分野も盛り上がっています。

データセットを見てみよう!

では、AI創薬がどんな感じか分かったところで、さっそくAI創薬に使われるデータセットを見てみましょう!

多くのデータセットがありますが、ここではDavisデータセットとKIBAデータセットを見てみようと思います。下の表のハイライトを掛けている二つです。二つとも比較的小さいデータセットです。

compoundsが化合物、proteinsがタンパク質、interactionsがcompound-proteinの相互作用の情報です!

Lim S et al. A review on compound-protein interaction prediction methods: Data, format, representation and model. Computational and Structural Biotechnology Journal 19 (2021) 1541–1556, Table 1より一部抜粋し、編集

それでは、実際にこれらのデータセットの中身を見てみましょう。

ここではDeepPurposeというライブラリを使っていきます。

https://github.com/kexinhuang12345/DeepPurpose

DeepPurposeはDTI(drug target interactions)予測のためのデータセットやモデルを数多くサポートしており、簡単なコードでこれらのツールを使うことができます!

まずはインストールしましょう。以下を実行するとDeepPurposeが使えます。下の行だけでは動かないので注意が必要です。

!pip install git+https://github.com/bp-kelley/descriptastorus
!pip install DeepPurpose

次に、必要なライブラリをインポートしていきます。

import DeepPurpose as DP
from DeepPurpose import dataset
from DeepPurpose import utils

import pandas as pd

まず、KIBAデータセットを取得してみます。なんと次の一行で取得できます!最初の引数直下にデータが格納されます。なので、ここでは ./data/ 直下にデータが格納されます。

X_drugs_K, X_targets_K, y_K = dataset.load_process_KIBA('./data/',  binary = False, threshold = 9)

このままではどのようなデータか見にくいので、pandasを使ってデータフレームにしてみましょう。

df_KIBA = pd.DataFrame({'drugs': X_drugs_K, 'targets': X_targets_K, 'y': y_K})
df_KIBA.head()

出力は下の表のようになります。

drugstargetsy
0COC1=C(C=C2C(=C1)CCN=C2C3=CC(=C(C=C3)Cl)Cl)ClMTVKTEAAKGTLTYSRMRGMVAILIAFMKQRRMGLNDFIQKIANNS…11.1
1COC1=C(C=C2C(=C1)CCN=C2C3=CC(=C(C=C3)Cl)Cl)ClMSWSPSLTTQTCGAWEMKERLGTGGFGNVIRWHNQETGEQIAIKQC…11.1
2COC1=C(C=C2C(=C1)CCN=C2C3=CC(=C(C=C3)Cl)Cl)ClMERPPGLRPGAGGPWEMRERLGTGGFGNVCLYQHRELDLKIAIKSC…11.1
3COC1=C(C=C2C(=C1)CCN=C2C3=CC(=C(C=C3)Cl)Cl)ClMRPSGTAGAALLALLAALCPASRALEEKKVCQGTSNKLTQLGTFED…11.1
4COC1=C(C=C2C(=C1)CCN=C2C3=CC(=C(C=C3)Cl)Cl)ClMELAALCRWGLLLALLPPGAASTQVCTGTDMKLRLPASPETHLDML…11.1

drugsはsmiles表現(Simplified Molecular-Input Line-Entry System)、targetsはアミノ酸配列の文字列にエンコードされてます。

次にDavisデータセットを取得してみましょう。同じように一行で書けます!

X_drugs_D, X_targets_D, y_D = dataset.load_process_DAVIS('./data/', binary = False, convert_to_log = True, threshold = 30)

KIBAと同じように、データフレームにして可視化してみましょう。

df_DAVIS = pd.DataFrame({'drugs': X_drugs_D, 'targets': X_targets_D, 'y': y_D})
df_DAVIS.head()

出力は下の表のようになります。

drugstargetsy
0CC1=C2C=C(C=CC2=NN1)C3=CC(=CN=C3)OCC(CC4=CC=CC…MKKFFDSRREQGGSGLGSGSSGGGGSTSGLGSGYIGRVFGIGRQQV…7.366532
1CC1=C2C=C(C=CC2=NN1)C3=CC(=CN=C3)OCC(CC4=CC=CC…PFWKILNPLLERGTYYYFMGQQPGKVLGDQRRPSLPALHFIKGAGK…5.000000
2CC1=C2C=C(C=CC2=NN1)C3=CC(=CN=C3)OCC(CC4=CC=CC…PFWKILNPLLERGTYYYFMGQQPGKVLGDQRRPSLPALHFIKGAGK…5.000000
3CC1=C2C=C(C=CC2=NN1)C3=CC(=CN=C3)OCC(CC4=CC=CC…PFWKILNPLLERGTYYYFMGQQPGKVLGDQRRPSLPALHFIKGAGK…5.000000
4CC1=C2C=C(C=CC2=NN1)C3=CC(=CN=C3)OCC(CC4=CC=CC…PFWKILNPLLERGTYYYFMGQQPGKVLGDQRRPSLPALHFIKGAGK…5.000000

KIBAと同じような表現となっていることが確認できました!

さいごに

今回はDeepPurposeを使って、DavisとKIBAというAI創薬で使われるデータセットを可視化してみました。

次回はRDkitというライブラリを使って、取得したこれらのデータを色々な形式に変換していこうと思います!

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